1.走りの性能・・・★★★★☆
エンジンを回していった時のパワーはT5にはかなわないが、レスポンスや加速フィールなど、全体的な走りの印象は、むしろ今回のT4のほうが好印象だった。
スポーツセダンとしては少し物足りない部分もあると思うが、コンフォートセダンとして捉えれば、これはなかなか良いバランスに仕上がっていると思う。(^_^)
(1)発進挙動・・・★★★★☆
動き出した瞬間に感じる「なめらかさ」は、まさにT5に試乗した時に感じた感触と変わりなく、実に上質な感触だ。
アクセルの踏み込みに対する反応もリニアで、軽快かつスムーズな加速をしてくれる。
まぁ不満はないね。(^_^)
T5の時は5つ★をつけたのに、今回のT4では4つ★にした理由は、アクセルの踏み込み量に対する反応の繊細さが、T5の時ほどではないかな、と感じたから。
まぁ大きな違いではないのだが、やや今回のT4のほうがアクセルの踏み込み量に対するクルマの反応が急峻かな、という感じがしたのだ。
理由は分からない。
ってゆーか、そもそもメーカーとしては、T4とT5でそこに違いをつけているつもりは無いのかもしれないし。(^^;
T4はT5に比べて動力性能のスペックがかなりダウンするので、ひょっとしたらアクセルの踏み込みに対する回転数の上げ方とか、そのあたりをT5より少し急峻気味にすることによって、体感的な動力性能が低くならないようにしているのかもしれない。
(2)加速フィール・・・★★★★☆
いやぁ、軽快な加速やね! (^o^)
普通に街乗りで走らせてる限り、T5との動力性能の差はほとんど感じないと言っていい。
発進から中速域までの加速は言うまでもなくリニアで、思ってた以上にトルクフル。
中速域からの加速でも、アクセルの踏み込みに対して期待を裏切らない加速感が感じられ、気持ちがいい。(^_^)
ってゆーか、アクセルをグッ!と踏み込んだ時の加速レスポンスは、むしろT5より早いように感じたぐらいだ。
なので、T5では3つ★だったが、今回のT4では4つ★をつけさせて頂いた。
T5に試乗した時は、ドライブモードがノーマルモード(COMFORT)だと、ちょっと動力性能を抑えすぎているように感じたが、T4はいい意味で動力性能が劣るため、ノーマルモードでもあまり手加減せずに力を発揮するようにセッティングされているのかもね。
(3)パワーフィール・・・★★★☆☆
いつもの定番試乗コースの急坂ではないが、寝屋川バイパスの高架橋の手前で速度を落としてから上り坂に入り、急加速を試してみた。
結論を言えば、パンチはない。
でも、4千回転近くまで回せば十分に力強く加速してくれる。
過激な走行をさせない限り、不足感はまったく感じないレベルと言っていい。
ただ、こういう上り坂での加速力を試してみると、なるほど、確かにT5のほうがパワフルだなぁと感じるところだ。
回転数が上がってからの伸びがもうちょっと鋭ければ4つ★にしようかと思ったのだが、ジワジワという感じだったので、ここは3つ★とさせて頂いた。
(4)ハンドリング・・・★★★★☆
T5では3つ★だったが、今回のT4では4つ★とさせて頂いた。
というのも、クルマのキャラクターとハンドリングの特性が、実にマッチしていると感じたから。
今回の試乗車は17インチタイヤを履いているのだが、とりあえず街乗りでハンドル操作する限りにおいては、特にT5の時と違いは感じなかった。
クイックではないが、ダルくはない。
でも穏やかで自然なフィールの、落ち着いたハンドリングだ。
スポーツセダンと考えれば、もう少しシャープな感じというか、繊細な反応が欲しいところだが、コンフォートセダンと考えればちょうどいい。(^_^)
(5)ステアフィール・・・★★★★☆
今回は50扁平の17インチタイヤを履いているせいか、T5に試乗した時ほどインフォメーションは濃くなかったが、これもまた、コンフォートセダンと考えればむしろ妥当。(^o^)
でもちゃんとインフォメーションは伝わってくるので、安心感がある。
まさに「ちょうどいい」ところをついていると思う。(^_^)
(6)ブレーキフィール・・・★★★★☆
T5と同じ。
(参考)
【試乗記】 ボルボ S60 T5 Inscription
2.乗り心地・・・★★★★☆
19インチを履いたT5では、乗り心地自体は悪くなかったものの、どっちつかずのキャラクターという感じだったのだが、今回の17インチを履いたT4は、まさにコンフォート。
T5よりさらに穏やかで、良い乗り心地だと感じた。
(1)スポーツ性・・・★★★☆☆
足回りから伝わってくるしっかりした感触からはボディ剛性の高さが感じられ、路面をしっかり捕らえている感じからはスポーツ性を宿した素性も感じられる。
じゃあ「スポーティーな足回り」かと言われたら、そういう感触を目指してチューニングされた足回りのようには感じない。
なので、「こいつでコーナー攻めたいなぁ!」と思わせるような感触とは明らかに違う。(^_^;
(2)コンフォート性・・・★★★★☆
T5の19インチでも乗り心地は良かったが、17インチを履いた今回のT4では、より乗り心地の良さが感じられた。
なめらかな感触で、足回りもよく動いていて、ボディのムダな動きがよく抑えられている。
道路の継ぎ目を通過した時の感触も、実に穏やかだ。
17インチを履いたことで、このクルマのキャラクターは完全に「コンフォート」という方向で定まったと言っていい。
3.静粛性・・・★★★★☆
基本的にはT5と同じ印象。
走り出した瞬間に、ロードノイズが少ないなぁと感じるし、周囲の音の侵入も少ない。
高級車らしい静かな空間だ。
ただ、T5の時は「スポーツセダン」と考えていたので物足りない感じがしたのだが、今回のT4は「コンフォートセダン」という方向でキャラクターが定まっていると感じるので、そうであればこの静粛性は好意的に受け止められる。(^_^)
(参考)
【試乗記】 ボルボ S60 T5 Inscription
4.エンジン音の音質・・・★★★★☆
意外とT5とあまり印象は変わらない。(^_^;
エモーショナルな感じではないけど、がさつな感じは一切なく、まぁ普通に「いい音」だと思う。
このエンジン音もまた、「コンフォートセダン」と考えれば、そのキャラクターにマッチした音質だと思うね。(^_^)
5.居住性・・・★★★★☆
T5と同じ。
(参考)
【試乗記】 ボルボ S60 T5 Inscription
(1)運転席・・・★★★★☆
T5と同じ。
(2)後席・・・★★★★☆
T5と同じ。
6.内装質感・・・★★★★☆
今回の試乗車には「レザーパッケージ」のオプションが付いていたため、ここでの評価はあくまでもレザーパッケージを付けた場合の評価であることを、あらかじめお伝えしておく。
T4はT5に比べて内装の加飾も少しグレードダウンされてしまうのだが、実際に見てみるとほとんど気にならない。
ってゆーか、言われないと分からないぐらいの、ちょっとした違いだ。
シフト周りのドリンクホルダーのフタの部分とかインパネのパネルが変わるのだが、そもそもT5のパネルも大してインパクトのある上質感はないので、T4でそこが少しグレードダウンしたところで大した差ではない。(^o^)
T5に試乗した時はプラスパッケージが付いていたので、ダッシュボードが「テイラードダッシュボード」という人工皮革張りの仕上げになっていたのだが、T4のダッシュボードは普通の樹脂のボードになる。
でもちゃんとソフトパッドになってるので、全然OK。(^_^)
ってゆーか、私はむしろ、T4のソフトパッドのほうが好みだ。
だって、「テイラードダッシュボード」、見た目にもほとんどインパクトないし、しかも押してみると硬いので、わざわざ人工皮革張りにしてる割にはちっとも上質感を感じなかったから。(^o^;
まぁあとはT5と同様なので、T5の試乗記を参考にしてもらいたい。
(参考)
【試乗記】 ボルボ S60 T5 Inscription
7.装備・・・★★★★☆
純粋なT4はだいぶ装備が落ちるのだが、必須の装備は「レザーパッケージ」でセットになっているので、「レザーパッケージ」のオプションを付けておけば、装備に不満はない。
私的に、T5との大きな違いだと思う部分は、実質的に2つだけだ。
1つはオーディオ。
T5はharman/kardonのオーディオが標準だったが、T4では特にブランド名の記載の無い、
「ハイパフォーマンス・オーディオシステム(170W, 10スピーカー)」
になる。
2つ目はエアコン。
T5は4ゾーン、つまり後席の左右も独立して温度調整できるエアコンだったが、T4では一般的な2ゾーンのエアコンになる。
と同時に、グローブボックスの保冷機能もなくなる。
あと、助手席のメモリー機能、シートのベンチレーション機能、マッサージ機能など、他にも細かい(どうでもいい)装備がカットされたりするが、まぁ別に無くても構わないというか、無いのが普通というような機能ばかりなので、まぁ問題ない。(^_^)
8.オーディオ音質・・・★★★★☆
装備のところでも書いた通り、T4での大きな違いの1つは、T5に比べてオーディオがグレードダウンするというところ。
というわけで、その音質をチェックしてみた。
全然OK。(^o^;
いや、むしろ十分に「いい音」と言っていいレベルだよ。
低音から高音までバランスよく、レベルもしっかり出ている。
もちろん、T5のharman/kardonではその上をいく高音質を楽しめるが、このT4のオーディオでも全く問題ない。(^_^)
9.デザイン・・・★★★★★
T4は内外装の加飾がグレードダウンするが、トータルで見て、S60のカッコ良さはT4でも味わえると感じた。
よって、今回も5つ★とさせて頂く。(^_^)
(1)エクステリア・・・★★★★★
T5に対してT4は、外装パーツの一部が省かれたり、グレードダウンするのだが、S60のカッコ良さをスポイルするようなものではない。
フロントグリルのメッキが省かれるのはちょっと痛い部分と言えなくもないが、でもまぁ許容範囲内だ。
マフラーの形状も変わるのだが、T4でも左右2本出しで、特に問題ない。
50扁平の17インチホイールになるので、サイドビューが少々心配だったのだが、これも全然OK。(^_^)
(2)インテリア・・・★★★★☆
内装質感のところでも触れた通り、T4では内装の加飾もグレードダウンされるのだが、質感への影響が少ないだけでなく、デザイン的な部分での影響もほとんどない。
T4でも、S60が表現する世界観、雰囲気はそのままに楽しめると言っていいだろう。
10.コストパフォーマンス・・・★★★☆☆
必須のオプション「レザーパッケージ」込みとなると500万円を超えるわけだが、ドライブフィールも良好、乗り心地のキャラクターも定まり、むしろT5よりも全体的に好印象。
この完成度なら3つ★をつけてもいいだろう。
11.総評・・・★★★★☆
これは強力な候補が現れた! (^o^)
何が良かったって、やっぱり「コンフォートセダン」としてキャラクターが定まったところがいい!
T5の時は、ここを見ればスポーツセダンだけど、ここを見ればコンフォートセダンという、ちょっとトータルで評価したときのチグハグ感というか、1本の軸で評価できない部分があった。
それが今回のT4では、乗り心地や静粛性、エンジン音など、全てが調和したように感じるのだ。(^_^)
そして、パワーダウンするということで、心配された動力性能も全く問題ない。
むしろT5よりも街乗りでの感触は好感触だ。(^o^)
やはり予想していた通り、「T4にレザーパッケージをつける」という組み合わせが、S60におけるコスパ最強と言って間違いない。
もちろん、S60の中ではコスパ最強でも、他の候補と比べてどうかは、購入するタイミングでの値引きなども含めての話になるので、それは現時点では何とも言えない。
しかし、少なくとも有力候補の1つであることは確かだ。
ここんところ、有力候補に名乗りをあげるのが外車ばかりのような気がするが、日本車の巻き返しにも期待したい。
乗り替えのタイミングで、外車だけでなく、日本車も候補として戦ってもらいたいからね。(^^;